マーケティングに必須のWebプロモーションに関する知識・ノウハウを、ラジオ・書籍・セミナーなど様々な形で発信する田中千晶(たなかちあき)のBIOGRAPHYです。

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特別対談「withコロナ時代の生き方」スタンフォード・オンラインハイスクール校長 星友啓 × 株式会社BES 代表取締役 田中千晶

取材

2020-06-04


    

「withコロナ時代」を目前にして、ビジネスパーソンのあるべき姿を語る連載。3回目は、混乱期にあっても理念に立ち返る大切さについてお伝えしていけたらと思います。

     

このような時だからこそ、自身の理念に立ち返り、その仕事をしている理由や事業を通じて誰を幸せにしたいのかを考えることが大切ではないでしょうか。スタンフォード・オンラインハイスクール校長 星 友啓(ほしともひろ)先生にお話を聞きました。

     

星 友啓(ほしともひろ)氏│

Stanfordオンライン高校校長、哲学博士。Education; EdTech(教育関連テクノロジー)コンサルタント。1977年東京生まれ。 2008年Stanford大学哲学博士修了後、同大学哲学部講師として教鞭をとりながら、 Stanford Online High Schoolスタートアッププロジェクトに参加。2016年より校長に就任。2000年東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。https://tomohirohoshi.com/

     

理念に立ち返る大切さーーコロナ収束後に待ちうける世界を生き抜くために

田中:星先生が校長を勤めるスタンフォード・オンラインハイスクールは、文字通り、100%オンラインの授業を実施し全世界の生徒が学んでいますね。オンライン教育を進めていくにあたり、上手くいく考え方やツールなどはあるのでしょうか?

     

「オンライン教育には特別な何かがある」と、思っている人は多いと思います。しかし、そうでもないのですよ。

   

例えば、「黒板教育」という言葉はありません。黒板は誰もが当たり前に使う教育ツールのひとつで、それぞれの教育者がそれぞれの目的で、様々に使用するものだからです。

      

オンラインの教育も、そういうイメージでみたら良いでしょう。誰もが使える教育のツールで、生徒によって、カリキュラムによって、教育理念によって、応用の仕方は様々です。これがオンライン教育の正しいやり方というものはありません。目的によりけりです。

     

ですから、どうすれば「オンライン教育」を成功できるか?と、よく聞かれますが、教育者がやるべき教育は何かをはっきりさせることにかかっていると思います。学校の存在目的や理念があり、そこに集う生徒さんがいて、学んでもらうべき内容はカリキュラムに組まれています。そうしたことを通じて、やるべき教育は何なのかをきちんと理解すること。その後からツールを合わせていくことが大事なのではないかと思うんですよね。

    

オンラインというツール側に意識が引っ張られてしまいがちですが、まずは、どうしてオンライン教育やりたいと思ったのかを振り返って考えるべきなのです。

    

ツールの面については、目的によるので、一概にこのツールが良いとは言えません。何がいいかは、学校や生徒さん、状況などに応じて変わりますから。僕らにもっとも適したツールを考えた結果が今なので、学校が変われば最適なツールも変わるでしょう。

    

田中:生徒さんやカリキュラム、教育の目的・理念に応じて最適なツールが決まるということですね。

    

そうですね。ですので、テクノロジーに引っ張られるのではなく、教育理念に立ち返ることが大切です。「生徒さんたちにどうなってもらいたいか」を考えるべきです。そこから出てくる目標を実施/達成するために、「良いツールがあるかマイクロソフトさんに聞いてみよう」とか「Googleさんに相談しよう」となるのが良いツールの見つけ方です。逆に、ツールに意識を引っ張られていると、「社名を聞いたことがあるから、このツールは良いらしい」とさっそく導入を検討してしまう。すると、ツールの提供側から、「何をしたいんですか?」と聞かれます(笑)。

     

田中:教育理念は企業でいうところの経営理念に通じると思います。シリコンバレーでは、経営理念から考えて事業を行う企業が多いのでしょうか?

      

シリコンバレーに限った話ではないと思いますが、ある製品を作っていて利益を生んでいる企業であっても、その事業は何のためにやっているのかと必ず問われます。その事業目的を世界に発信したり、たくさんの人に共感してもらえるような企業や起業家が成功していきます。なので、しっかりと理念を打ち出し、実際にも理念を信じて経営していくことは大切だと思います。

    

田中:コロナウイルスの一件で、そうした本質について考える時間は増えたかもしれません。

     

そうですね。僕が言っていることがきれいごとに聞こえてしまうくらい、僕たちはプラクティカル(実利的・実践的)な社会に生きていると思います。しかし、コロナウイルスの一件は、内面を見つめなおす機会にもなりました。自分の理念をもう一度考え直してみても良いのではないかと思います。

     

プラクティカルな現代において、社会に役立つ自己を確立するために

    

田中:内面を見つめ理念を明確にするのと合わせて、セルフプロデュース力も必要になるように思います。どうしたら多くの人に、自分が思い描いているような自分自身を感じてもらえるでしょうか?

    

セルフプロデュースだから自分のことと思いがちですが、まずは相手を良く知ることが必要ではないでしょうか。自分のメッセージを伝えたい人たちは誰なのか、その人たちはどんな気持ちでいて、どんなニーズがあるのかをかなり明確しなければいけません。

    

例えば、SNSを使えば、大多数の人に向けて一斉に自分の情報を発信できると考える人は多いと思います。そうではなく、まずはコミュニティを作っている意識をもつことが大切ですよね。繋がっている人たちと丁寧に接することで、自分の意見にもさらに磨きがかかってくるでしょう。

    

田中:他社とのかかわりの中で、どうしたら社会に役立つ自己を確立していけるでしょうか?

    

例えば、コロナウイルスはアメリカに最悪の影響をもたらしました。アメリカでは、約6週間で2,500万人以上の人が職を失い、失業率も15%近くになってしまったのです。もしもそのような状況にいたら、社会貢献をしたり他の人に優しくしたりすることは難しいですよね。

   

あるいは、社会貢献は恥ずかしいとか青臭いと感じる人も、日本人には多いかもしれません。道徳的にやらなければいけないからやりましょうと言われてきたことも多いと思います。

    

ですので、何かメリットを感じ取ってもらい、“善い行い”を実行動を促すことも時に必要かもしれませんね。例えば、心理学や能科学といった先端的な科学の分野で、“善い行い”が私たちにもたらすメリットが明らかになってきています。人に優しくすると寿命が長くなるとか、友達がいないのは喫煙より健康のリスクが高くなるといったことです。

    

そうした、実利があるということを伝えて行動を促していく。行動していくと、本人の気持ちも変わってきて、実利のための行動ではなくなっていくことがあると思いますので。

    

田中:何か善い行いをするのは、青臭く思えてしまうこともあるかもしれませんよね。自分の得られるメリットは何か、実利は何かと分かると動けることは多いと思います

    

医療に代表されるように、心理学や脳科学といった先端科学の分野も、今まさに起こっている悪い病気を治そうというところから興ってきました。そのように、これまでネガティブな面ばかり見てきた領域で、人のポジティブな面にスポットを当てる研究が流行ってきているのは興味深いことです。

   

以前、僕のブログでも、幸福感が人にもたらす良い影響について書いたのですが、“善い行い”によって幸福度があがると、さまざまなハッピーを享受できるようになります。感謝をはじめとする人のポジティブな側面にスポットライトをあてて科学していく。近年、僕も注目しているところです。

    

参考:人間の幸せを研究する科学分野「ハッピネス」『星 友啓 Official Web Site』より

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